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学習のヒント

参考書を買ってもらおう

【『神谷塾だより』第275号(2019年4月9日発行)の記事を修正】

塾に通っている小中学生の諸君は塾ではワークの問題を解く時間が長いので、どうしてもワーク、そして教科書を中心に勉強することが多いようである。学校や家ではどうですか。やはり教科書とワークの世界で「閉じて」しまっていますか。

何か調べたいことがあるとき、ワークの「まとめ」を見る人がすごく多い。確かにそれで済むことはあるし、「まとめ」の隣のぺージの基本問題はたいてい「まとめ」に対応しているので、他の本で調べるよりそのほうが手っ取り早いこともある。だが「まとめ」はしょせんは「まとめ」。全部が書いてあるわけではない。せめて教科書か、より深くわかろうとするなら参考書にあたってみよう。参考書は塾などに置いてあるかもしれないが、自分専用の「何でも書いてある」本があれば、勉強はぐっと深みを増し、広がりも持つはずだ。調べ物という目的では理科や社会、そして英語が、参考書は役に立つだろう。

たとえば英語には前置詞という単語のグループがある。中学の英語では助動詞と並んで難しいものといえそうである。

to という前置詞を知らない人はまずいないが、適切に使える人は多くはないようだ。「必要なときにだけ適切なものを使う」ということがきちんとできなくては、憶えたことにはならない。中3や中2の人は、「そこに to がなくてはならない」とか「そこに to があってはならない」とか、言われたことが何度もあるだろう。

前置詞には to とか for とか with とか、よく使うのでお馴染みになっているものもあれば、along とか during のようにたまにしか見かけないものもある。これらが同じ仲間だということは知っていただろうか。後者は憶えるまでに時間がかかるかも知れないが、実は難しいのは前者のほう。後者に比べて用法がたくさんあるからだ。こういった多くの前置詞をばらばらに憶えるのではなく、「場所を表すもの」「時を表すもの」のように種類別に勉強しておくと、使うべき場面で適切な前置詞が自然に出てくるようになる。

また、前置詞をなぜ前置詞というのか(※)を知っていると、その後には名詞やその仲間(動名詞とか)が来るということが当たり前になり、He is good at play tennis. といった誤りをしなくなる。【※ 前置詞という名は「名詞や代名詞の前に置く」ことから来ている】

だから、英語であれば英文法の参考書、たとえば文英堂『くわしい中学英文法』(上の写真)のような本を持っていて、前置詞なら前置詞のところをときどき読むようにするといいと思うのである。文法の本だから目的語とかとかとかの文法用語がよく出てくるが、それらにもだんだん慣れていきたい。<接続詞をアタマに主語と述語動詞をふくむ部分>などといちいち言っているよりも「節」のひとことで済ませた方がすっきりして、勉強もはかどるはずだから。

そこで、ともかく書店に行ってみよう。そして、「これは便利」「読みやすそう」「持っていたい」という気になるものを探そう。選ぶ基準としては、いま自分が気になっていることがら--前置詞とか世界恐慌とかマグマの粘性とか--を何冊かの本で探して読んでみる。その説明がいちばんしっくり来る本が君にとって必要な本だ、と思えばいいのではないだろうか。それを買ってもらってください。

塾によっては参考書まで用意してしまう“親切な”ところもあるらしい。高校に進学すると学校から指定される場合もある。だが必要な参考書はしばしば自分で探さなくてはならないし、大学に進んだり、社会に出たりすればなおさらだ。少しずつ参考書を探す力を養ってほしい。

最後に、今月から小6になった人へ。小6の社会では主に歴史を学びます。参考書は「小6社会」でもいいけれど、読めそうであれば中学生向けの「歴史」をお薦めしたい。小学生にとっては実に十分すぎるほど何でも書いてあるし、中学ではもちろん、たぶん高校生になってからも役に立ちます。中学生の人も、歴史用語集などは高校生向けのものでも良いかも知れませんね。

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