【旧ブログ「神谷塾的勉強と受験と子どもの教育」にも同記事をアップしています。こちらが読みづらい場合はどうぞ旧ブログをご覧ください】
近年「三人称単数の they 」が定着しつつあるようです。よく知られていることだと思いますが,入試問題の実例を先日見つけましたのでご紹介します。
「いつ結婚するか,子どもを産むか産まないかなどは,各人の自由な判断によるべきだ。」
Everybody should be free to decide when they will get married, and whether or not they will have[bear] children.
『基礎からの英作文パーフェクト演習 改訂版』(桐原書店)に収録されている東京大学の問題です。 they は everybody を受けていて, everybody は単数( everyone というくらいで every や each は単数の名詞に付きます)から,従来日本で教育されている文法では he か she で受けるところです。だから he / she と併記したりしますし,「総称の he 」という用法もあって he か she か迷うときは he で良いようですが,いずれもあまり適切ではない気がします。そこで男女共通の三人称単数の代名詞として上の問題では they が用いられているのです。
(原題を見ていませんが,これを作文するとして,受験生はどう対応したのでしょうね。東大の受験生だから, he / she とするか総称の he にするかという対応ができた生徒は多かったろうと思います。自信を持って they を書いた生徒がいたら大したものですね)
they は he / she に代わる男女共通の単数形として実は古くから用いられてきたようですが,近年性の多様化が尊重されるようになり,性別にとらわれない表現として they が採用され始めたということのようです。動詞の形は一般的な they の用法に従い( be 動詞は are / were であり,一般動詞に三単現の s は付かない),所有格・目的格・所有代名詞はそれぞれ their , them , theirs ですので,普段遣っている通りの文法ですから,読む時も書く時もあまり心配はありません。ただし再帰代名詞は themselves でなく themself となる(単数ですからね)ようです。ちょうど二人称の you が単数・複数で同じように用いられ,再帰代名詞だけ yourself / yourselves と変わるのと似ています。
詳しくはたとえばこちらのサイトをご覧になってください。