アンデシュ=ハンセン『スマホ脳』(新潮新書,久山葉子訳,2020年,255p)を読了。
「人類史上,ここ数十年ほど急速にライフスタイルが変化したことはない。しかも変わったのはデジタル関連の習慣だけではない。これまで人類が体験したことのない種類のストレスが存在するようになった。睡眠時間が減り,座っている時間が増えた。そういうことは全部,脳にしてみれば未知の世界なのだ。これがどういう結果を引き起こすのか--この本は,それに答えようとした結果だ」
(まえがき」より)
著者アンデシュ=ハンセンはスウェーデンの精神科医。前作『一流の頭脳』が人口1000万人のスウェーデンで60万部の大ベストセラーとなり,20か国語にも翻訳されて世界的人気を得た人である。上の疑問に対し,数々の研究成果をふまえ,脳のしくみや人類の進化の見地から,専門家ならではの説得力ある説明を示してくれる。また,ストレスの予防や集中力の回復,不眠などに「あらゆる」運動が効果的だという,希望が持てるアドバイスもある。
本書の章立ては次のようになっています。第3章とか第7章が気になると思いますが,初めの2章が全体をよく理解する上で大切なので,前から順に読んでいくのが良いでしょう。
第1章 人類はスマホなしで歴史をつくってきた
第2章 ストレス,恐怖,うつには役目がある
第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
第4章 集中力こそ現代社会の貴重品
第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
第6章 SNS--現代最強の「インフルエンサー」
第7章 バカになっていく子供たち
第8章 運動というスマートな対抗策
第9章 脳はスマホに適応するのか?
第10章 おわりに