(2020年6月8日発行の『神谷塾だより』に掲載したものに加筆しました)
今年はジョン=レノン没後40周年・生誕80周年に当たる。邦題「ウーマン」は1980年11月発売のアルバム『ダブル=ファンタジー』に収録の楽曲で、レノンが凶弾に倒れたのは翌12月であった。当時40歳。自分がその年齢をはるかに通り過ぎてみると、その若さがひたすら痛ましく思える。
作詞・作曲はレノン。表題通り世の女性たちに向けたものだが、直接には妻・小野洋子に宛てたラブソングである。後半では「男はいつまでも幼い」「悲しませるつもりはなかった」などと言っているので、己れの過去の不甲斐なさを詫びている所もあるような。
なお、たびたび書いているがwomanの発音はウマン。この語は歌の中では女性への呼びかけになっている。
For the other half of the sky
(女性たちが見る)空の半分のために
Woman, I can hardly express ①
My mixed emotions at my thoughtlessness ②
After all I’m forever in your debt ③
And woman, I will try to express
My inner feelings and thankfulness
For showing me the meaning of success ④
ねえ うまく表現できそうもないけど 僕の複雑な感情を 軽々しくは
だって 僕は君のおかげで生きていられるんだから 永遠に
ねえ それでもなんとか表現してみるよ 僕の内にある愛情と
成功の本当の意味を教えてくれたことへの感謝の念を
Woman, I know you understand
The little child inside of the man
Please remember my life is in your hands
And woman, hold me close to your heart
However distant don’t keep us apart ⑤
After all it is written in the stars ⑥
ねえ わかるよね 男の中には幼い子どもがいる
忘れないでほしい 僕の人生は君の手の中にある
ねえ 抱き寄せておくれ 君の心にぴったりと
どんなに遠く隔たっても 僕らの心を離さないで
だって それは遠い昔から決まっていることだから
Woman, please let me explain
I never meant to cause you sorrow or pain ⑦
So let me tell you again and again and again
I love you now and forever
ねえ 説明させてほしい 君に悲しみや痛みを与える気などなかった
だから何度でも説明させてほしい
愛しているよ 今も いつまでも
① hardly は can に伴って「ほとんど~ない」。
② thoughtlessness は「不注意,軽率」。(そんな熟語はないのだろうが) at (人)’s thoughtlessness で「不注意にも」「軽々しく」といった意味であろうと解釈した。
③ after all は「そもそも」「なにしろ」。 debt は「借金」または「恩義」。
④ for 以下は前行の thankfulness に係る。
⑤ however は「どんなに…でも」。 distant の後に we may be を補う。
⑥ it 以下を直訳すると「それは星々の間に書かれている」。自然の摂理として、自分たちが生まれる前から、自分たちが生まれる前から決まっていたことだ、という意味であろう。
⑦ cause (人) (事) で「(人)に(事)をもたらす」。
演奏(音だけ)はたとえばこちらに。レノン本人の演奏の動画は見つからない。