GWの休暇を利用して、合掌造りで知られる岐阜県・飛騨の白川郷(白川村荻町)を訪れました。
白川村は岐阜県の最北端で富山県・石川県に隣接しています。庄川の河岸段丘に発達した農村で、歴史は12~13世紀まで遡るようです。農業のほかには養蚕も行われ、合掌造り家屋の2階・3階がその作業に使われていました。他には塩硝(硝石。硝酸カリウムを主成分とする鉱石で火薬の製造や肉の保存に用いられる)の産地でもあったようです。現在も600人を越える人が暮らし、田畑を耕しながら合掌造り家屋の保存に力を注いでいます。
白川郷(荻町地区)の450戸ほどの家屋のうち、伝統的な合掌造りのものは114。他は近代的な切妻屋根の家屋がよく見られます。昭和の高度経済成長期には白川村にもダム建設の波が押し寄せ、合掌造り家屋の保存のため荻町への移築が進み、「白川郷合掌村」として公開を始めたということです。1995年にはユネスコから世界遺産に登録されました。
左は国指定重要文化財「和田家」。白川郷の合掌造り家屋の中で最大規模のもので、江戸初期の建築とされています。和田家は代々庄屋や番所役人を務めるとともに塩硝の取引によって栄えたとのことで、家屋の大きさもさることながら庭園や居間・仏間など豪華で、高級な漆器など生活用具にも往時の裕福さが感じられます。現在も和田家の住まいとなっていますから、「ここから先は生活空間なので入らないで」という断り書きがあちこちにありました。自宅に観光客がぞろぞろ出入りするのではご苦労が多そうであります。
(以下の写真は何軒かの内部を取り混ぜてセレクトしたものです)
合掌造りの家屋は基本的に3階建て。1階には土間があり、居間があり、居間には囲炉裏があり、と(私も農村の出身なので)見慣れた農家の風景です。が、階段を昇って2階に入ると、よく知っている愛知県地方の農家の造りとはずいぶん異なりました。屋根は三角形で、2階以上はそのまま「総屋根裏」という様子です。丸木が縄で固定され、茅葺き屋根の裏側は重量感たっぷり。
右は蚕の繭の入った「回転まぶし」という道具。2階以上は養蚕の仕事場に使われていたのですね。
最後は白川郷の全景です。60mほど小高くなっている展望台から。まだ春が浅いので緑もまばらという感じですが、夏や秋には「日本の正しい農村」的美しい風景が一望できるはずです。また、(写真で見ただけですが)冬の雪景色も素晴らしいようです。
飛騨白川郷