〔神谷塾HPの「メッセージ」欄、中学生のご父母向けに以下の記事を書きましたので、ここにもアップしておきます〕
神谷塾の小学部・中学部の「個別指導」では、生徒がワークブックで自習し、それに教師がマル・バツをつけ、バツのものは正解になるまで直す--という形式です。1回目はノーヒントで返し、それで直ればOK、直らなければ適宜ヒントを与えて、いよいよ厳しいときは全体の筋を示して、一応は自分で正解を書かせます。
答の正誤を知るだけなら、正解を渡しておけば生徒が自分でやるのではないか。それを教師がやってやる必要があるのか--という声をいただくことがありますし、私(神谷)もかつてはそう思っていて、神谷塾を始めた当初は生徒に任せきりにしていたこともあるのです。が、それではダメなんだと、そのうち気づきました。
私が雇われて教師の仕事を始めたある塾でも、毎回の小テストを回収してチェックすると、それは宝の山でした。完全に誤解している例、文字を間違えている例など、およそありがちな間違いのパターンのすべてがそこにあった気がします。それを、小テストだけでなく、生徒が書くものおよそすべてをチェックしようではないか--と今、やっているのです。中2の後半とか中3になってその子の仕事の質が信用できるレベルで安定してくると、社会科などは答合わせまでその子に全部預けることはありますが。
教師がマル付けをしてやることの効用の筆頭は、自分で正解を見ずに済む、ということでしょう。せっかく間違えて、それを修正するチャンスを得たというのに、正解を自分で見てしまったらそれきりです。そんなもったいないことはありませんね。
さて、私とかスタッフが、答の正誤以外に何を見ているかといいますと--
○文字が間違っていれば直させる。漢字で書くべきところを仮名で書いているものは漢字で書かせる。文字の形がおかしいものは直させる。必要最低限の綺麗さで書けない子には私が赤字で書いたものをなぞらせる。(文字の品質の基準は私の目です。いちおう教師としては標準だと自分では思っています)
○算数・数学の途中の式。やろうとしていることは合っていても、式の続け方が間違っていたり、負の数をカッコに入れるべきところで裸であったり、書くべき等号(=)が書いてなかったり、書いてはいけないところに等号が書いてあったりすれば、直させる。暗算でやるべきではないところを暗算でしていれば注意し、暗算でいけるところを筆算していたりすればやはり注意する。
○数学の証明の筋と文言。筋が通っていないのはもちろん誤り。(どこで教わってくるのか)ヘンな日本語を遣っているときは直させる。できるだけオーソドックスな数学作文ができるように。
○英語の文字。英語の苦手な生徒は十中八九文字がダメである。書けないか、書けてはいても読めない。あるいは英文がグニャグニャと波打っていて、読んでいると船酔いしたような気分になる(笑)。それを漢字や仮名と同様に直させる。驚くべきことに、英語が苦手だといって通い始める子のうち、かなりの割合が文字を直させるだけで成績が向上する。(“神谷再生工場”と自称しています)
○理科・社会の、正解が複数あるような用語問題や記述問題の正否。これらは、生徒が自分では判断ができないことが多い。例としては、たとえば有名なアンモニアの噴水実験で、「噴水が起こった理由」は「アンモニアが水に溶けやすいから」のみで、これに「空気より軽い」とか「水溶液がアルカリ性」を一緒に書くとバツ(ちなみに、「アンモニアの水溶液がアルカリ性」「アンモニアが水に溶けるとアルカリ性を示す」は正しいが「アンモニアはアルカリ性」はバツ)。理科では、それを書かなくてはいけないとか、それを書いてはいけないとか、いろいろと正解要件のうるさい記述問題が多い。私も指導していて時々うんざりします(笑)
--とまあ、思いつくままに書きました。こういったことを日常的に指摘されては直すという作業を続けるので、実は、神谷塾では日々これテスト対策。実戦的なのです。最終的には入試の採点者に読んでもらえるものを書くために、きわめて有効な指導方法ではないでしょうか。
私も執念深いといいますか、しつこいので(笑)、毎日のように、やれトメハネがおかしいの、途中式が書いてないのと言われていると、生徒もうんざりするのではないかと思うのですが、意外にも(笑)そうでもないらしい。もしかしたら、そんなことをこれまで注意されたことがなくて新鮮なのかも知れませんし、貴重な機会だと捉えてくれているのかも知れません。
生徒が書いたものを教師がチェックする必要