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2025年度北海道公立高校入試について

 5教科とも昨年度に比べて易しくなったようだが,教科間では難度が揃っているという印象を受ける。年度によって難度が大きく変動したり教科間で異なったりすると,この入試を目標に勉強する受験生を振り回す。引き続き難度の安定した入試を用意してもらいたい。国語では古典が小問に“格下げ”--という変化が目を引く。後述するようにこの変化には首を傾げざるを得ない。

■国語
 大問[二]は説明的文章であった。2022年度以降,文学的文章(小説など)と説明的文章(論説文など)が交互に出題されており(22年度文学的→23年度説明的→24年度文学的),今回が説明的文章だったことでこの流れが引き継がれている。「実用文」が独立の大問として登場した代わりにこうなっているのだが,21年度までのように説明的文章と文学的文章の両方が大問として出ているほうがバランスは良いのに違いない。両者が交互に出される流れであれば,「来年の大問[二]は文学的文章だから,公立高対策としては説明的文章はやらなくていい」などという感心しない事態を招くであろう。
 そして今回はさらに,「実用文」的な大問が二つに増加し,一方でずっと大問ひとつを成していた古典が小問集合の中の1問に格下げ・縮小されている。23年度・24年度と古典は設問数が過去の3問から4問に増えるとともに内容も難化する傾向にあったのだから驚きである。高校入試での古典の扱いが小さいのは,生徒に対して「古典の勉強には力を入れなくていい」というメッセージになりはしないだろうか。高校に入ってからも古文・漢文はあり,中学国語に比べて格段にハイレベルになるのである。
 「実用文」重視の傾向は20年前後の大学入試“改革”の影響を受けていると思われるのだが,大学入学共通テストでは(2年間出題がなかった)実用文が今年は復活しているものの説明的文章・文学的文章・古文・漢文のそれぞれが大問を成している。実用文の大問を用意するのはいいとしても,それは小説や論説文や古典を切ったり易化させたりしてまですることなのか,おおいに疑問である。実用文は扱いを縮小し,小問集合と合体させて大問[一]とし,以下はかつてのように,[二]文学的文章,[三]論理的文章,[四]古典--のようにすべきではないか。このような形式のほうがバランスが取れているはずである。
[一]小問集合と古典。小問はおもに漢字の知識。古典は古文「宿直草」(卷四第九)より。「宿直草」(とのいぐさ)は江戸時代前期の怪談集ということであるが,本題の素材は怪談というほどではない。設問数は3で,22年度入試までと同じだがすべて四択で易しい。
[二]説明的文章。素材は佐々木宰・福井凱将「原体験としての造形-イメージの形成と遊びとしての表現」。これは北海道大学放送講座(テレビ)テキスト「美術は呼吸する」の第一章で,北大図書刊行会から出版されているが売り切れで入手困難。わざわざこんなところから素材を探してくるのには何か意図があるのだろうか。素材部分の前半は「表現」について,後半は「子どもの表現」について論じてあり,冒頭に「表現」の広辞苑による語義が示されていたりして抽象的であり,かつ今時の中学生にはかなり高難度。しっかり読めていれば問六までは平易だが問七は厄介である。設問文「--線5「…(略)…」とありますが,筆者がこのように述べるのは,子どもがイメージを形成する過程において,表現がどのように役割を果たしているからですか。表現がそのように役割を果たす上での表現手段の役割に触れ,八十五字程度で書きなさい」が一読で理解するのは難しい。「表現手段の役割」→「表現の役割」という流れで書けばいいようであるが,ここに思い至らずギブアップした生徒が多そうな気がする。子どもの表現に関わる内容は素材文後半であり,キーワード「表現手段」は第9段落にある。第9段落では「表現手段」として「ことばや音符,体の動き」が挙げられ,ここに「表現手段の役割」が書かれているのがわかり,さらに「これらの表現手段によって…」とあるため,この辺りの内容を整理すれば正答となりそう。第10段落,--線5の前に「したがって」とあり,さらにその前には「しかし」とあるので,「しかし」と「したがって」の間に目指す根拠があると考えるのが自然だが,筆者は「右の引用にも述べられている通り」としている。この推理からも第9段落の先述の箇所を発見することができる。
[三]実用文。「地域のつながり」についての課題で地域食堂を訪ねている場面。二人の登場人物の発言からそれぞれ要点を抽出してまとめる。平易。
[四]実用文。「節水」についての作文という形式だが,「資料」に基づいて「下書き」を埋めていく作業で平易。いわゆる作文問題とは異なり,生徒の自由になる部分は少ない。

■数学
 空間図形の出題がなかった。また近年「コンピュータを使って」という設定が目立つが,コンピュータを使う必要性を感じないものが多い。作問者にそういった要請があるのかも(どこから?)知れないが,もっと数学の思考そのものを大切にできるよう,すっきりした作問にすべきであろう。
[1]小問集合。全設問とも平易。問2の2次方程式はほぼ解き終わっている状態で提示されていて易し過ぎる。配点34点(全体の約3分の1)は一昨年・昨年と同等。
[2]確率と標本調査。確率そのものの計算ではなく,確率の本来の意味(中1)や箱ひげ図(中2)との関連,標本調査(中3)についての理解を問うもので,新傾向と言えそう。過程を記述させる問が近年増えているが,問2(1)で赤玉の個数の推定のしかたを文章で記述させるのは煩わしいだけである。計算式 500×12/30 か比例式 500:x=30:12 を書かせれば十分であろう。
[3]関数。停まっている電車の出発後の時間と距離の関係を2乗比例関数で,等速直線運動をする自転車の時間と距離の関係を1次関数で表し,両者の位置関係を扱う。類題が多数と思われ,解いた経験のある生徒には与しやすい問題。問2(2)で電車の平均の速さを求める過程が記述式になっているが,これは“公式”の暗記で (1/2)×(4+8) とされるのを嫌ったためか。
[4]平面図形。長方形を素材に,二等辺三角形の性質や図形の相似を扱う。問1(2)は作図を実行する代わりにその方法を説明するもので,珍しく定規・コンパスの不要な入試であった。問2は直角三角形の相似の証明で基本的。完全に書けた生徒が多かったであろう。
[5]平面図形と関数・方程式・確率。問1(1)は1次関数の利用でよく扱う点の移動。三角形の面積を関数で表してからグラフ化することが多いが,その都度「グラフの概形が等脚台形になる」理由に納得が行っていれば易しい。せっかくなので関数の表現も求めたいところだが,(2)でそれに準ずることをしている。問2はやや手間がかかる。三平方の定理で線分EFの長さを求めた後,条件に合うサイコロの目の出方を調べる。記述式あり最終題でもあるので,思考が進むごとに着々と書いていき,少なくとも中間点を稼ぎたい。

■英語
 全体に例年どおりと言って良さそう。
[1]リスニング。配点35点は変わらず。問4はディベートの場面で,(3)では理由1または理由2の内容に対する質問を書く。リスニングの中では最終題なので考える余裕はあるが,適切な内容で,かつ英文で書けそうな質問を考えるのは難しかったかも知れない。
[2]穴埋め形式と自由作文の基礎的な問題。従来通り。問3(2)は「君もやってみる?」という意味のことを書けばよく,正答例のほかにも別解がいろいろありそう。
[3]例年どおり,[A]は表を見て答えるもの。ピザ店での注文の様子で,イメージしやすい。[B]は intergenerational home share(異世代ホームシェア)についてのスピーチ原稿。intergenerational とか home share という語句には注はないが,素材文をきちんと読めばどんな話題かはわかってくる。[C]は日本の四季と自然環境に関する対話。問3の選択肢エ(正解)は「自分の町が良い環境にあると坂井先生は思っている」という意味だが,a good environment という表現は彼女の発言を受けた徹の台詞にあるので正答とすべきか迷った生徒もいたであろう。
[4]自由作文。「人生で最も大きな経験」について書く。15歳の子どもに「人生」とは片腹痛い。正答例は「外国に行ったこと」としているが,そんな書き易い経験をしている子は一握りに違いなく,また大人顔負けの凄まじい経験をしていたりするとそれは思い出したくもない経験かも知れない。それこそ外国でのホームステイなどを想像して書けば良さそうではあるのだが,何かと思慮の足りない出題である。(1)は書くべき単語が決まっている。(3)は人生最大とする理由を2つ書く。「2つ書く」というのは昨年から続いていて,First, …/Second, …”という形式で書けばよい。
 なお,毎年書いているのだが自由作文の採点基準が大甘である。「英語使用の正確さに不十分な点はあるが,表現内容が適切である場合は●点(中間点)とする」というもの。最後のやつは6点中4点もくれることになっている。減点法を採るとすぐ0点になってしまうから(せっかく書いたのに?)ということであろうが,内容は大したことなくてもいいからミスのない文を求めるのが入試のありようとしては正しいはずであるし,こんな大甘な採点をしているのは5教科の中で英語のここだけなのである。実際は各高校で個々に採点基準が存在するのに違いないし,そう願いたいものである。

■理科
 標準的な出題と言えそう。現実にはあり得なさそうな実験とか仮説と呼べないような仮説とか,毎年のように見受けられる出題ミスもどきはなかった。来年以降もこの調子でやってもらいたい。[1][2]と易しい大問が続き,却って調子を狂わせた生徒もいたかも知れない。
[1]小問集合。全問素直で易しい。
[2]生物。植物の観察と分類。問4(1)でゼニゴケの吸水のしかたを問うているが,それは図1の観察カードに書かれているから,(国語ではあるまいし)何を書けば良いのかと戸惑った生徒もいそうである。仮根の役割を併せて書けとあるので「仮根には吸水のはたらきはなく,だから体の表面から吸水するのだ」という筋で書かせようという意図なのだろうが,植物はもともと根を持たずに誕生したのだから「根がないから表面で」という論法はおかしいであろう。問4(2)ではイヌワラビの吸水について正答例は「気孔からの蒸散によって根から吸水できる」としているが,おそらく蒸散は吸水をさかんにすることはあっても吸水の条件ではないはずである。これまた論法がおかしい気がする。
[3]化学。金属のイオン化傾向。21年度からこの項目とダニエル電池が教科書に載って以来,4年目にして北海道ではようやく出題となった。ただしダニエル電池は今回も触れられてはおらず,イオン化傾向のみ。思考力を測るには十分かも知れない。問1(3)は,亜鉛イオンと銅イオンがいずれも2価であることから図中の金属イオン(●または○)は合計3個のままであることに注意。問1(4)は金属片としてはYのものだけを用いるので,金属片Yと水溶液B,Cの組合せに限られることに注意。
[4]物理。LEDと豆電球を用いた電気回路。北海道では17年にもこの組合せが出ており,やはり変換効率が扱われている。実験1ではLEDの電圧-電流の特性が調べられており,この測定の範囲では電圧が大きくなるほど電流が流れ易くなる(抵抗が小さくなる)ことがわかる。オームの法則に従わない点では電球もそうだが,電球は電圧が大きくなるほど電流が流れにくくなる(抵抗が大きくなる)ので逆である。実験2ではLEDとスイッチが並列につながれているため戸惑った生徒もいそうである。電源の電圧は常に3.2Vと考えて良く,スイッチOFFの状態では800ΩのLEDと豆電球が直列につながれるので電流は4mAと微弱。電圧はLEDに集中し,LEDは光るが豆電球は電圧が小さすぎて光らない。スイッチをONにすると,並列部分では電流は抵抗のないスイッチのほうを流れLEDにはほとんど流れない。結果,実質的には豆電球単独の回路となって豆電球は光る。
[5]地学。地震。地震計のしくみ,観測波形,P波・S波の到達時刻(表),とオーソドックス。問1は平易だが問2は実習2の表を丁寧に見て行かねばならない。まず表にある距離は震央距離であって,震源との近さの順以外はわからないことを確認し,地震A,Bとも各地点での初期微動継続時間を求めておくのが正解への第一歩となる。問2(2)では初期微動継続時間が震源距離に比例することを利用し,S地点の震源距離が300kmであることからQ地点・R地点の震源距離を割り出し,それから必要な点をプロットしグラフを完成する。このグラフからP波・S波の速さを求めておけば,(3)の緊急地震速報の問は平易である。

■社会
 記述式は定番で基本的なものが多く,昨年からは易化したが,昨年が難しかったので標準的になったと言えそう。例年どおり,グラフや写真などの資料を的確に読み取り学習した知識と結びつける。
[1]小問集合。地理・歴史・公民の小問が各5題。記述式のうち問1(2)はモノカルチャー経済,問3(3)は違憲審査権を説明するもので定番。問6(2)は沖縄が1972年までアメリカの占領下にあったことと結び付けられれば平易。
[2]歴史。古代から現代までの総合問題で,各時代の船を資料として提示している。問2の記述は日露戦争の講和に関するもので定番と言えるが,国民の負担が大きかったことを資料の内容から具体的に述べる必要がある。問3は田沼意次の政策に関するものでやはり定番だが,幕府の財政収入の状況について資料から指摘しなくてはならない。問6(1)は,高度経済成長の結果いわゆる「一億総中流」となり「中の中」と「中の下」が増加することが見込まれ,「上の上」などはほぼ変動なしと想像できれば平易。
[3][A]世界地理,[B]日本地理。[A]問1ではアメリカ発祥?のセンターピボットやフィードロットが気候や産業構造が似ている他国にも広がっていることを扱う。問3は地中海地域での家の特徴で定番。[B]問3は近年京都をはじめ各地で問題となっているオーバーツーリズムに関連するもの。社会へのアンテナの感度を問われている。
[4]公民。政治・経済・国際各分野から。問5の記述は衆議院の優越の根拠で定番。問4は好景気,問6は円高に関するもので,いずれも昨今の日本とは状況が異なる。違和感を覚えた生徒がいたかも知れないが,正解するのに苦労はなかったであろう。

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