斉藤由貴の『卒業』という曲があります。卒業ソングの代表格で、斉藤由貴のデビューシングル。好きな曲でしたが、レコードを買って聴くというほどではなく、字余り気味の歌詞はたまに聴くくらいでは憶えられなかった。それで、気に入った曲はなにしろ憶えて歌う!というのがモットー(笑)の私としては珍しく、自分の中で放置してしまった曲でした。
それが、卒業式シーズンだからでしょう、先日たまたま車の中で聴いていたAMのラジオでこれが全曲流れて、なんだかすごく懐かしく、切ないような気持ちになってしまったのでした。
♪ああ 卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう
というサビの部分がとても有名ですが、私が切なくなるのはここではないのです。曲の冒頭からたびたび出てくる、
♪制服の 胸のボタンを~
の旋律。いま調性がわからないので「移動ド」で書かせてもらいますと
♪ドドドドド ドドドドドレミソ~
の末尾の「ソ~」がなんとも不安定な裏声になっていて、この旋律が繰り返されるたびにソワソワと落ち着かない。
この曲が耳にこびりついて離れないので、CDを買おうとしましたが、近所の古本屋にはない。大通に用事で出たときにも探しましたが、ない。「ないのか~」と思うとますます欲しくなるもので、とうとう今日はいつもの「コーチャンフォー・ミュンヘン大橋店」まで車を飛ばしました。ベスト版ならあるに違いないと。
昔のアイドルのCDが欲しいばかりに仕事をサボって…だからこのブログも「おろかな日々」化するわけです。
果たして、ベスト版がありました。買いました。かつてのアイドルたちのレコードは、いまかなりの数がCD化されているのですね。「斉藤由貴・BEST」を買ったついでに、「松田聖子・Canary」も買ってしまいました。(『瞳はダイアモンド』が入っています)
さて、『卒業』は1985年2月の曲で、作詞:松本隆、作曲:筒美京平。往年の強力コンビの作品でした。このコンビの作品はたくさんありますが、太田裕美『木綿のハンカチーフ』を代表作としていいでしょう。そういえば2つの曲は、醸し出す雰囲気もテーマも共通するところがあるような。
何度も何度も聴いてみますと、2番に入って歌声に艶が増すような印象を受けます。2番は彼氏とのふれあいの回想になっているのですが、
♪席順が変わりあなたの 隣の娘にさえ妬いたわ
とか、
♪駅までの遠い道のりを はじめて黙って歩いたね
とか、いや~聴いていると胸がキュンとしますね。甘酸っぱい高校時代の気分がよみがえるような。私の高校時代には、この歌のようなできごとはさっぱりなかったのですが。くそ~(笑)
なお、この曲が出た当時、斉藤由貴は18歳。そのころ彼女は明●食品のカップラーメンのCMに出ていて、それがむちゃくちゃ可愛かったんですよ。当時22歳の私は、テレビに吸い寄せられるように見入ったものでした。もう20年以上も昔のことです。
『卒業』