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『ドスコイ警備保障』

先日読んだ『都立水商!』に続いて、室積光『ドスコイ警備保障』(小学館文庫) を読んだ。やたらと面白く、またしても一気に読み終えた。今年は本をあまり読めていないが、この2冊がダントツである。
廃業力士の再就職先として設立された「ドスコイ警備保障株式会社」。ガードマンとしてこれ以上ないという人材ぞろいの会社である。連続強盗犯を半殺しにして世間の脚光を浴びたかと思うと、ボディガードを引き受けたある外タレに大受けして世界中にブレイク。会社は着々と軌道に乗っていく。社長はもちろん、やがてできる大阪や東北の支社長も元力士。
ただの荒唐無稽なギャグではなく、この会社を設立するに至った深い理由が次第に明らかにされていく。登場人物はそれぞれ魅力的だが、とくに「大東山」(四股名)のドラマはいい。
『都立水商!』もそうだったが、登場人物がチラリといいことを言う場面がある。『ドスコイ』を読みながら「そうだよなあ」と考えさせられ、思わずページの角を折ってしまった箇所が3つあるので、要約して紹介しておこう。
(劇団で芝居の稽古をする若者に、俳優丸田高広が)
俳優としてお金を稼ぐことはなかなかできるようにはならないのだから、いまは何で稼いでもいい。しかし、俳優としてのお金の<使い方>なら今すぐ実行できる。いい芝居や映画を観たり、バレエのレッスンを受けたりすることだ。俳優としてふさわしいお金の使い方をしろ。
(やはり俳優丸田が)
こだわりを持つのは良くない。こだわることは自分の狭い経験や考えの中にこもることだから、そこからいいものはできない。
(役者兼バー経営者の西田静志郎が)
成功する人の発想というものがある。成功した人間は、成功の理由を自分の力とは言わず「運が良かった」と言う。挫折した人間は「努力が足りなかった」と言う。これが、成功した人間が「努力したから」と言い、挫折した人間が「運がなかった」と言ってたらだめなんだ。
室積氏は俳優を経て劇作家、という経歴の持ち主であるようだ。おそらくは、自身の分身として俳優たちを登場させ、自身の言葉を語らせているのだろう。

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