8月23日(木)に、北海道立近代美術館で「東山魁夷展」を観て来ました。
東山魁夷氏といいえば白馬のいる風景が有名ですし、今回も展示はありましたが、私が強く心惹かれたのは純粋な風景画でした。特に山奥の深い森を描いたいくつかの作品の前では足が止まり、知らず知らず心は絵の中に吸い込まれていました。絵が大きいせいもあるのでしょうが、なかなかこんな感覚は味わえません。平日で空いていたので、気に入った絵の前でしばらく動かずに没入する贅沢も味わえました。
「山霊」124.4×184.0cm
上のは「山霊」という作品。木々の葉一枚一枚が緻密に描き込まれていて、信じられない奥行き。静謐な世界。見ているだけで涼しくなってくる。まるで山奥の秘湯にでもいるような気分です。
作者によるコメント--
「先年、中国の黃山に登った時に見た情景が今も心に強く残っている。山峡を蔽っていた霧が徐々に晴れていき、深い谷間の奥に一筋の滝が現われた。深山の霊気が漂っているのを感じた。この作品はその時の印象を基に、日本の峡谷の写生を参考にして描いたものである」
写実的ではあるけれども、作者の心象風景を描いたものが多いようです。下のは「静唱」という作品で、フランスはパリ南郊の公園の、晩秋の朝ということだったと思いますが、これも実際の風景とは多分に異なっているらしい。ポプラ並木の遠近や湖水に映る風景など計算しつくされた構図なのでしょう。幻想的で、夢の中の映像のようですが、ずっと見ているとリアルに見えてくるから不思議です。
「静唱」140.0×203.0cm
「静唱」の複製があればほしい、教室に飾ってみたい、と思います。ところが、複製といっても何十万円もするのですね。ひゃー。でっかいコピーでもいいのですが、そういうものはなさそうです。せめてパソコンの画面で見れればと、今は上の写真を背景にしています。
東山魁夷展へ