本の紹介です。
広瀬隆 『二酸化炭素温暖化説の崩壊』 (集英社新書、2010、222頁)
赤祖父俊一 『正しく知る地球温暖化』 (誠文堂新光社、2008、183頁)
地球が温暖化しているとか、いやむしろ寒冷化しているとか、断定的な物言いをする人がいるとしたら、それは誰かの説を鵜呑みにして受け売りをしているか、あるいは何か意図があってのことかも知れない。だからこのテーマに関する言説に出会うと警戒する、というか眉に唾する癖がついていました。
この夏、愛知に帰省して名古屋に出た折に、あまりに暑いので書店に入って涼んでいたとき、広瀬氏の新刊を見つけました。若い頃から親しんできた著者の本なので、つい手に取りました。少し読んでみると断定的なところはなく、むしろ古今の優れた本を紐解いてまっとうな知識を得よと勧めている。このテーマに関して信頼のおける書籍のガイドブックのような本です。
「私は読者に、近くの図書館に通いなさい、すぐれた本を読みなさい、すぐれた著者を探しなさい、と言いたいために、本書を書いている」(p.79)
その、すぐれた本の筆頭が赤祖父氏の著書というわけです。赤祖父氏は東北大学からアラスカ大学へ進んだ地球物理学者です。北極圏研究の第一人者で、オーロラの研究でも有名。北極海の氷が減少してホッキョクグマが絶滅の危機に瀕していると騒がれていますが、そのあたりのことを最もよく知っている人のひとりといえます。上記の本の発行元である誠文堂新光社は雑誌『子供の科学』などの版元でもある科学書の老舗です。私の感覚では、この著者にしてこの発行元であれば、その本は信頼して読める。少なくとも一読に値するであろうと思います。
その赤祖父氏の本はこれから読むので、内容については後日(たぶん)ということにしますが、さしあたり広瀬氏の本について。
①まず、地球が温暖化しているか寒冷化しているかは、わからない。
②温暖化説の根拠となっているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のデータはイカサマも同然である。
③仮に温暖化しているとしても、その主たる原因は二酸化炭素ではない。気温の上昇は二酸化炭素が急増するずっと以前から始まっており、途中には寒冷化する時期もあった。
④地球の気象に最も大きな影響を与えるのは水蒸気であり、水蒸気を除けば二酸化炭素の影響は最大かも知れないが、それで二酸化炭素にだけ注目するのはおかしい。
⑤だから二酸化炭素に無実の罪を着せるのをやめて、環境破壊の真の原因を追究しなくてはならない。それは都市のヒートアイランド化や原子力発電所からの膨大な排熱である。
--まとめるとこんなところですが、私の知恵の至らなさで言葉足らずであるか、きちんと要約できていないと思いますので、ぜひ本書をご一読ください(私は遅読のほうですが2日で読みました)。広瀬氏の表現を借りれば、私は広瀬氏の本を読んでください、と言いたいために、この記事を書いています。
“地球温暖化”に関する2冊