(『神谷塾だより』の連載記事の転載です)
たとえば歴史のまとめをするときには古代文明から順番にやりがちだけれど、これはとてもまずい。参考書を横に置いて始めると、参考書がそのような編集になっているので、そうしてしまうわけだ。しかし、その方法では途中で飽きてしまって、入試に必ず出る近代・現代までとうてい到達できない。入試に出にくいところほど詳しくて、出やすいところほど尻すぼみに不勉強になる…では困りますね。多くの人は近代・現代が苦手なのだろうから、こちらから遡るほうがまだ有効である。だが、ベストではない。
ときどき定期試験や模試がある。その試験で、全く無知ではなかったけれど、理解が中途半端で満足に得点できなかった、という部分がきっとあるだろう。今のうちにそこを整理して完璧にしておけば、次回出題されたときにはどんな問われ方をしても大丈夫なのではないか。全く勉強していなくてまるまる解けなかった、という部分ももちろん勉強するのだが、そこはまとめをする前に参考書などを熟読すべきだろう。知識がゼロではまとめはできない。
そして、せっかくそこを間違えたのだから、この機会を大いに利用しよう。間違えたところの周辺を含めた拡張版のまとめをするのである。たとえば、(初歩的なことで恐縮だが)「管領」と答えるべきところを間違えたとする。まず、勉強のヘタな人は「室町幕府の将軍の補佐役は管領だ」と憶えて終わりにする。普通の人は、室町幕府の全役職を整理する。多少上手な人は、鎌倉・室町・江戸の3幕府の役職を総整理する。さらに上手な人は「名称は同じでも役割が違うもの」「名称は違うが役割は似ているもの」について確認する(心当たりのない人は、勉強しよう!)。「管領」を間違えただけなら1点か2点のことだろう。しかし、その後の勉強いかんによっては10点分にも20点分にもなりうるわけである。
解けなかったところをこそ整理するべきなのであって、順序を気にすることはない。こういう勉強のためにルーズリーフはとても便利だし、「その1」に書いたように、ただの白紙に書いたものを束ねておくだけでもいいのである。
まとめの方法(3) 間違えたところから書く