雇われ講師として6年強,自分の塾の塾長として20年弱,合わせて26年間塾講師をやった後,家庭教師を始めて現在3年目です。塾と比べて家庭教師のほうが優れていると実感できている点がいくつかありますので,少し書いていこうと思います。まずは英語の話。
塾時代にはなかなかできなかったが家庭教師を始めたら簡単に実現した,ということがあります。英文の読み合わせと対訳です。教科書の文であるとか,ワーク類や道コンの素材文などを一緒に音読する。私が先にひとりで一度読んで聴かせてから,ということもよくやります。細かいことを言えば,例えば多くの中学生が「シ」「ジ」と読む si を「スィ」「ズィ」と読めるようになる。sister をシスター,visit をビジットと読む子がすごく多いはずですが(大人がそうやってカタカナにするのが一因です),スィスタ,ヴィズィッ(トゥ)と英語らしく読めるようになります。また,英文が長くなってくるとどこを固まりとして読み,区切るならどこで区切るかを判断しながら読む必要が生じますが,それも教えられる。固まりにするところを,単語と単語を連結して読むこともできるようになります。結果,私の生徒は私が読むくらいには読めるようになるはずです(※)。
※私が英語をどのくらい英語らしく読んでいるかという点に関しましては「ご心配のないレベル」としておきます。
英部を音読しながら日本語訳もしていきます。英文を読むときいちいち日本語訳などしないものですが,「訳せと言われたら訳せる」ように読んでいかないと,結局意味を正確に取れません。だからせっかく読み合わせをするなら全部日本語にしてみるのです。このとき,フィーリングで訳さないようにする。翻訳コンテストではないのですから,文法を尊重し,英文の構造を押さえた日本語に直します。ごく簡単な例をあげますと,He can play tennis well. は「彼はテニスが上手い」ではなく「彼は上手にテニスをすることができる」とする。
以上のようなことが週に1回でも定期的にできますと,長文への抵抗はなくなっていき,文法や語彙の力がつき,発音やリズムもめきめき上達します。リスニングにも波及効果があるに違いありません。塾という他人の耳がある環境よりも,生徒は気楽に取り組むことができるはずです。